会社の上司で 新しいプロジェクトを手伝うことになって、 親切に教えてくれた。 ヘマをして落ち込んだ時に、真摯にフォローしてくれた。 彼が結婚をしているのは知っていた。 「プロジェクトも一段落ついたし。飲みに行くか? お前も色々踏ん張ってくれたしな」 居酒屋で食べて、飲んで…… 二軒目のバー。
『ゴメン。最近忙しくて』 つき合って半年の彼からようやく来た返事。 彼が近くに居たのは、つき合ってから最初の1ヶ月だけ。 つき合った当初から 『俺、転勤するかも』 そう言っていた。 2ヶ月目には転勤が決まって、引っ越しして…… 彼の家までは新幹線と電車を乗り継いで、3時間弱。 そんなに遠くはない。 でも、 近くもない。...
頭の中で繰り返される言葉がある。 そのときあの人は、 ひどく優しい眼差しで ひどく優しいトーンで 私と一緒に居たら、きっと楽しいんだろうなって きっと、相性がいいんだって あの人とはずっと会っていない。 連絡も来ない。
お互いに、多少の「不自然」を埋めるようにして あくまでお互いに「自然」を装って…… ……違うかもしれない。 自然を装っていると思っていたのは、私だけだったのかもしれない。 男の人の気持なんて、わからない。 何を考えていたのかなんてわからない。 ただ 私はあくまで、 「自然」という表面を作って あの夜があったの。 あなたの肌の感触...
いつから、こんな関係になったんだろう…… 思い返すと……あの時。 お酒が入っていたせいもあったのかも知れない。 なし崩し的に、状況を迎えてしまった。 それからは、確認されることも無くて 当たり前のように ――肌が重なる。 もう少し、話をしよう? もう少し、ゆったり飲もう? 今から思えば、最初の頃はあった言い訳じみたセリフも 今は、ない。...
コンパの誘いを友達から受けて 「行こうよ、せっかくだし!」 「……うん…」 乗り気になれない自分がいる。 出会いを探さなくちゃならないのは、分かっている。 だって、彼はなかなか振り向いてくれないから。 想い続けてきたのに、全然手応えなんかなくて…… だから、新しい出会いを探さなくちゃ。 「今回は割りといいメンバー揃えたって話みたいよ」...
メールやメッセージはとても便利なものですね。 相手の時間をそこまで気にすることがなく送ることが出来る便利なツールです。 とはいえ……相手の表情、声のトーンがまったく読めないこと。 そして……即座なレスポンスが確約されないツールでもあります。 連絡をしようと思えば、連絡が出来なくはないのだけれど…… 連絡先は知っている彼。...
当然の様に朝ごはんを作り 当然の様に仕事に出掛けていく夫の、当たり前の日常風景があって そんな最中 自分の勤め先で 何だか目で追ってしまう人がいる。 家に帰れば洗濯物を取り込んで 夕飯の支度をはじめて 「ただいま」 「お帰りなさい」 いつもの様に帰ってくる夫が居て。 テレビを見ながらもくもくと食べる夫と...
夜中にふと、目が覚めた。 隣を見た。 そこには、 おじさんが居た 同棲を続けてかれこれ2年になる。 自分一人で暮らすほど稼ぎに自信もなくて。 同棲するのが手っ取り早かった。 別れては実家に戻ったり 友達の家に転がり込んだり また、同棲相手を見つけて…… そろそろ結婚も考えたかったから 今度の彼氏で決めよう、と思っていた。 彼氏が出来て、同棲して...