母方の祖父三回忌があって、親戚が集まることとなった。
就職してから一人暮らしがはじまった私のところにも、母から「おじいちゃんの三回忌だけど、あなた来られる?」とメールが一本入った。
祖父母の家は、隣の県の少しばかり山に入ったところで、のんびりとした景色が広がっている。
親戚が集まるたびに使われる、畳の部屋に入ると「来たんだなぁ」なんて気分になる。
三回忌イベントが終わると、夕飯の支度がはじまる。
簡易な机も引っ張り出して、親族一同が座れる様なテーブルをセットする。
叔母さんとお母さんがおばあちゃんと厨房に入って、男たちは一足先に晩酌をはじめて
夕飯がはじまると、想定通りの話が振られる。
「そういえば、おじいちゃんはずっとあんたの結婚式に出るのが夢だったんだけどねぇ」
30を手前にしたところから、おじいちゃんはずっと私の顔を見るたびに
『おまえさんの結婚式に出んとならんから、元気でおらんといかんなぁ』
と言っていた。
叶えてあげることができないまま……。
微妙な関係の人はいるけれど、相手が結婚を考えているのかは解らないし……。
「そうねぇ」
適当に併せて、息抜きにタバコを吸おうと厨房からサンダルをひっかけて外に出ると、後から従兄弟のコウちゃんがタバコを手にやってきた。
「面倒だよなぁ」
コウちゃんは、おじいちゃんのお葬式直後に離婚をした人だ。
私が席を外してすぐにコウちゃんの話になったのは想像がつく。
コウちゃんはタバコに火をつけて、白い息を吐いた。
「今度さぁ……俺、昇進するんだけどさ……それがバレると養育費上がるっぽいんだよなぁ……なんとか誤魔化せないかと思っているんだけど」
コウちゃんの結婚前の挨拶の時も覚えている。
お正月だったかに親族が同じように集まっていて、婚約者として元の奥さんを連れてきた。
わりと綺麗な人だったし、しっかりしていそうな人で……何よりコウちゃがベタ惚れだった。
「でも、養育費だからコウちゃんの子供のためなんだよね?」
コウちゃんはまたタバコをふかして言った。
「子供のためったって、元嫁が何に使ってるかなんて解らないだろ?」
下衆い
空を見上げると、都会では見られない満天の星。
結婚をせかす親族と
結婚を意識しているとは思えない……そもそも恋人なのかも微妙な彼と
従兄弟の下衆な意見。
結婚ってなんだ?
もう、どうしたらいいんだろう?
親戚の集まりでもやもやしてきたら
会いにきてください。
一緒に考えていきましょう!