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私はただ、喜んでほしかっただけなのに……!

 



つきあって間もない彼がいる

初めてのバレンタイン。

絶対に渡そうと心に決めた。

可愛いラッピングも用意して。


「バレンタインの日、会える?」


と、彼に質問をすると

いや……その日はちょっと仕事で忙しいから難しいんだ


断られてしまった。


けど……忙しくても受け取るくらいならできるよね?



前日の夜に一生懸命作って、ラッピングを終えて


会社が終わったら早速チョコレートを持って、彼の会社へと出向いた。


パラパラと小雨。

今週また寒気が来ているという寒さ。

 

 

(撮影:比良井しほり 撮影機材:Canon IXY DIGITAL700)


それでも、彼が喜んでくれるだろうと思うと心が温かくなってくる。


残業時間に入っているはずだから、ある程度自由に動けるはず。


彼をスマホで呼び出した。

いつ、気づくかなぁ。

そう思っていると、やがて既読が付いた。

あ。

気づいた。



彼に会えると嬉しくなってくる。

喜んでくれるかな?
驚くかな?



返信がないまま、慌てた表情で走ってくる彼の姿があった。


私のところまで走ってきた彼は、怖い顔をしていて


どうしたの?


どうしたのって……


笑顔でラッピングしたチョコを見せた。


「バレンタインだから、持ってきたの」


彼は一瞬驚いた表情を浮かべてから、すぐに私を見た。


今日は仕事が忙しいって言わなかった?

「あ。だから、すぐ帰るつもりだし。渡すだけと思って


そう言うと


彼は小さくため息を吐いた


ほんと、やめてよ。なんで連絡もなく来るの? それに、手ぶらで来ちゃったから、こんなの持って会社に戻れないよ




こんなの……って……




私、一生懸命作ったのに!



彼はイライラとした様子でため息を吐いた

「ちょっと仕事戻らないといけないから。今日は無理だってだからちゃんと言ったじゃないか。じゃあね


彼はそれだけ言うとチョコレートも持たずに、さっさと会社の中へ走って戻ってしまった




なに?



なんなの?




何、これ!?





私、どうしたらいいの!?





バレンタインでもやもやしたら、
 
会いにきてください


一緒に考えていきましょう!