転勤してきた彼が私の直属の先輩となった。
五つほど年上の人で、彼と二人で一つの仕事を回していく二人三脚のような仕事をここ一年ほどしている。
最初はクールで話しにくい人だと思った。
けれど、仕事は早いし、指示も割と的確で
ぬるい優しさはないものの、業務は正直回しやすい。
「スタイリッシュな仕事の仕方」とはこういうことを言うんじゃないか、と思う。
一年一緒に仕事をしているのに、雑談をしたことはほとんどない。
出身地は東京だということと、
こちらに来る前は大阪支店に居たというくらいで
ある意味ではほとんど彼のことを知らない。
最初は冷たい人だと思っていたけれど、だんだん気になってきて……
残業時間に二人きりになったことをいいことに、勇気を出して雑談を切り出してみた。
「そういえば、彼女とか、居るんですか?」
パソコンを打ち込んで居た彼はちらりと顔をあげて私を見たあと、興味なさげにまたパソコンに視線を落とした。
「居ないよ」
居ないんだ……
それがちょっと嬉しくて、笑がこぼれた頃
「面倒だから」
クールな声が聞こえた。
彼を見ると彼はパソコンを打ったまま、こちらに顔を向ける事なく答えた。
「恋愛とか? バカバカしいでしょ。コスパ悪いし」
恋愛のコスパって何!?
え? 何
どういうこと!?
なんだかもやもやしてきたら
会いにきてください。
一緒に考えていきましょう!