つきあって一年になろうかという彼と、一緒に過ごしていたときだった。
彼のスマホが鳴って、彼が電話に出る。
スマホの向こうから、微かに女性の声が聞き取れた。
彼がこちらを見ることは無かったけれど、明らかにこちらを意識したのは見て取れた。
彼は少し席を外しながら電話を続ける。
「あ、うん。うん。そうだね、うん。今? 今、彼女と居る。……うん」
私の事を「彼女」と言ったことに少し安心をしたものの、
女の勘というやつだろうか。
なんだか不穏な空気を感じる。
変な風に不気味に揺れる木々のように、私の胸がどこかざわざわと揺れた。
(撮影:比良井しほり 撮影機材:OptioE75)
明らかに「何事もなかったですよ」な顔を作って戻ってきた彼に無言で視線を向けると
彼は焦った様に説明した。
「あ。トモダチ」
「ふぅん」
短く返すと、彼はまた慌てた様に説明をはじめた。
「いや……長いトモダチで……実はあいつ、ずっと資格試験を頑張ってきててさ。友人として応援してたんだけど、今回、合格したんだってさ!」
「そう。それはよかったね」
彼は焦った様な素振りを見せて、笑顔を作った。
「だから、友人としてお祝いをしようって話になってるんだ? いいだろ?」
――二人で?
なんだか私の勘が妙に働く。
けれど、これを突っ込んでいいのかわからなくて
友人をお祝いしたいという彼の前面に出してきている説明を、「だめ」とは言えない。
私、どうしたらいいの!?
彼の「オンナトモダチ」になんだかもやもやしてきたら
会いにきてください。
一緒に考えていきましょう!