「好きなんだ」
それは、もうかれこれどれほど前のことだっただろうか。
ぼんやりと考えて指折り数える。
一年、二年、三年、四年……
知り合った彼は、会社の取引先の人だった。
なんだかウマが合って、プライベートでもお互いに飲みに行った。
彼女が居ることは知っていたし、いいなとは思っていたけれど
仕事の延長と、友達の様に仲良くなれたらいいな、と。
そんな気持ちで、軽いバカ話をしながら盛り上がったり
仕事の話を真剣に話したり
(撮影:比良井しほり 撮影機材:Nikon D3300)
そんなことをしていた矢先の、ある夜の帰り道
人のあまり居ない夜道で、急に抱きしめられた。
なにをするの!?
と、驚いた私に、彼は一言。
「好きなんだ」
終電の時間が迫っていて、さらに話すことが出来ないまま解散。
慌ててスマホでメッセージを打った。
『彼女はどうなっているの?』
『いるよ』
『じゃあ、なんであんなこと言ったの?』
『素直な気持ちだから』
『でも、彼女と別れる気はないんでしょ?』
『解らない』
狡く感じた。
『なに、それ』
『そうだね』
それから、
特に彼との関係は変化をしないまま。
いや、変化があるとするなら私は取引先の担当が変わって
仕事の直接的な絡みは無くなって……
彼からの返信が極端に減ったくらいで――。
それなのに。
それなのに……
好きなんだ
何年も前に言われただけの、その一言が
私を恐ろしく縛り付ける。
私……
どうしたらいいの!?
もやもやしてきたら
会いに来てください。
一緒に考えていきましょう!